Math and Physics

数学と物理の予備知識

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はじめに

2007/12/29
4回目と5回目のテーラー展開の式表記が間違っていましたので修正しました。
このサイトをご覧いただいた皆様にはご迷惑をおかけしました。ごめんなさい。
ご指摘いただいた読者の方、ありがとうございました。

2008/01/21
8回目と10回目のテーラー展開の微分点表記を修正しました。(式(8.3)などの下付添字部分)
ご指摘いただいた読者の方、ありがとうございました。

2008/01/21
7回目の法線ベクトルの求め方の説明をわかりやすいように補足しました。
ご指摘いただいた読者の方、ありがとうございました。

2010/10/17
3回目の連続の式の説明中に出てくる式の表記にミスがありましたので以下の部分を修正しました。
儁 [kg/m3s] は微小直方体内での質量流量の変化量を意味しているので,次のように表現できます。
の下4行目の式
ご指摘いただいた読者の方、ありがとうございました。

 有限要素法の勉強を始めようとすると,必ず数学の知識が必要となります。
どの教科書も使用する数学の知識については簡潔にしか説明されていないようです。
日本の出版事情から科学技術図書には厳しいページ数の制約が課せられると聞いています。
現在は,インターネットで容易に洋書を取り寄せることができますので,本気で勉強してみたい方は一度名著と呼ばれる書を入手してみては如何でしょうか。それらは マトリックスの中身まで省略無しに書かれているものもよく見ます。
翻って日本では,出版社の収益関係の都合でそこまで紙面を増やすことは望めないようです。
科学技術大国と呼ばれる日本ですが、そのシステムを継承するための足元は極めて脆弱であることをうかがわせる一面であります。
また,近年学校教育が形骸化したために,大学や大学院といった高等教育機関を出た人でも数式の扱いと考え方に対しての知識が著しく不足している人が激増しています。
その原因は,日本の学校教育では数学の理論や背景を説明すること無しに数式を使うためです。
これは,日本の学校教育が制度の面でも,社会からの要求の面でも,そしてそこで働くスタッフや学びに来る学生といった人間の面でもあらゆる要素が,どこか間違っているからです。

 日本の学校教育はできもしないのに,限られた時間であまりにもいろんなことを詰め込もうとし過ぎています。
しかも,学生の前に立っている先生の「教育」を実施する能力が極度に不足していることは明らかです。
そして高等教育機関が,成績評価を初等教育機関と同様に記憶力を試すような試験で行っている時点で間違っています。

 人間は物事を,納得する前に理解することはありえません。  数式をことばで説明して学生を説得できる先生が非常に少ないので,多くの学生は数式の内容を納得していません。その結果,理解できないのです。理解できなくてもテストで出るパターンを覚えてしまえば,現状の試験はパスできるので結局数式を理解しようとする努力は芽生えません。
 数式を理解しないまま進んだ場合,例えば有限要素法の理論のような学問分野は,全く理解できないでしょう。 会社でFEMソフトウェアをユーザーとして使用するというような場合は必ずしもFEMの理論を知っている必要はありませんし,そのような時間を確保すること自体が困難なご時世です。一方で,勉強が本文の学生の場合は学ぶチャンスがあるのですからしっかり学習しておくほうがよいでしょう。

 よく受験産業では言われるように,数学などは勉強量に比例して理解が進むものではありません。 何度も何度も同じところでわからなくなって,それでもしぶとく考えていると,ある日突然すっきりと理解できるようになる瞬間がやってきます。その瞬間から,数学は怖くなくなります。
そのためには努力と時間がかかります。
壁を乗り越える前に引き返せばその先へは絶対に進めません。
著者は高校や大学での数学や物理などの成績はほとんど可でしたが,そんなことは有限要素法の理論を勉強する上でほとんど関係ありませんでした。
理解できないことに対しては,いかにしぶとく食らい付くかが重要です。
知らないことやわからないことは進んで学んでいくしかありません。
現状では,学校教育によって実践的な学問の面白さを理解することは困難です。

 有限要素法の勉強で出てくる数式を理解することは,そんなに難しいことはありませんが, 文献では説明が無かったり, 大学の講義内容が貧弱だったり, 自分でしつこく意味を考えたりしないこと などが原因となって理解できないことが多いと思います。
 そのとき,人に聞いてもたいていは問題解決しないことのほうが多いでしょう。
 そういう時は,自力で考えるしかありませんが,頭の中で考えるだけでなく,理解できない部分について,考えられる解釈を紙に書き出して,1つ1つその解釈を仮定して検証を行うことが大事です。要するに頭と手を動かしなさいということです。
ここでは,微力ですが筆者が有限要素法を勉強しているときにネックになりやすいと判断した数学の最低限の知識について説明します。
先生がそばにいても頼りにならないという教育難民の方々の助けに少しでもなれば幸いです。
教育難民の人で本気で勉強したい人は,人の助けを当てにせず腹をくくって独学することが大事です。
そういう誠実な努力によってはじめて,周りの人が助けを差し向けてくれるということを同時に強く認識すべきです。
また,それなりに独力で努力してみてわからないという時点で質問したほうが,答えてくれる人の話も理解できますし, そうでないと,話が噛み合わないのではないでしょうか。

わからないことがありました。
ネットでちょこちょこっと調べました。
見つかりませんでした。
教えて下さい。
よろしくお願いします。

今日ではこういうケースが増えています。重要でなく時間がかけられないケースでは仕方ない部分もありますが,自分の専門とする分野でこの調子では先が知れたものです。
しかしながら,これが今の日本において,小学校,中学校,高校,大学というように,多くの「人の支え」と「時間」と「エネルギー」と「お金」を使って生きてきた人生の結果なのです。

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