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総和規約 2

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 総和規約と組み合わせて使用されるクロネッカーのデルタ記号について説明します。

総和規約2

総和規約とは大胆にいうと省略表記法であり,クロネッカーのデルタ記号も総和規約で用いられる省略表記記号であると考えることができます。
クロネッカーのデルタ記号は2つの添え字 i , j を持っています。
3次元デカルト直交座標系をベースとすると i , j には 1 から 3 の数字が代入されます。
このとき i = j のときは,クロネッカーのデルタ記号は 1 を表す約束になっています。
i と j が違う数字の場合は,クロネッカーのデルタ記号は 0 を表す約束になっています。
したがって,これらは以下のように表記されます。

具体的に i と j に 1 から 3 までの数字を代入して表記すると次のようになります。

次に,添え字が ij ではなく ii である場合を考えます。要するに j = i のときだけ考えなさいということです。
よってこの添え字の組み合わせは 11 , 22 , 33 しかありません。
1つの項に同じ添え字が2度以上現れるときは総和をとるという,総和規約がここで適用されます。ほとんどの教科書には当たり前の話なので制約のある中わざわざ紙面を削って指示してはくれません。

もうひとつクロネッカーのデルタと総和規約を組み合わせた例を示します。
これはクロネッカーのデルタの積なのですが,添え字は i と j が,同じ項に2回登場しています。
したがって,ここでは総和規約を適用します。
掛け算の表記でありますが,δijδij はあくまで1つの項を表していることぐらいはわかって下さい。

次の例は前の例と似ていますが i と j が入れ替わっている場合です。
コツコツ代入して計算すると理解できます。

総和規約のルール説明のなかではクロネッカーのデルタのほかに交代記号なるものがさらに登場します。
普通の学生はここですでに授業が分からなくなってしまうと思います。
筆者も計算力学なる必修科目を大学2年生の頃は不可をもらいました。
なぜなら i = 1 , 2 , 3 j = 1 , 2 , 3 と地道に代入する努力を実践しなかったからです。

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