例題10 円板の非定常熱伝導解析(温度拘束問題)
出典:矢川元基:「有限要素法の基礎と応用シリーズ8 流れと熱伝導の有限要素法入門」,培風館,p.120-121
軸対称/非定常/線形/問題
節点数:306 要素数:500 (三角形環状1次要素) 時間増分値 5.0 [sec]/完全陰解法
境界条件:
連続境界条件=断熱境界条件:領域上端( z = 0.05 )下端( z = 0.00 )
温度拘束条件:右端( r =1.00 ):温度 0 [℃]

物性値:熱伝導率:47.985 [ W / m℃ ] 比熱:479.83 [ J / kg℃ ],密度:7860.0 [ kg/m3 ]

寸法:Lr = 1.00 [m] Lz = 0.05 [mm]
解析モデル ( 軸対称モデル )

図 1 に示すような,初期温度が 500 [℃] 一様である円板の断面を考えます。
この断面は左端が対称軸であり,右端が時刻 0.0 [sec] より 0.0 [℃] に拘束されます。
この条件のもとで非定常解析を行い円板の温度を計算します。
温度変化は数百度の範囲になるので,現実の物質では物性値の温度依存性が現われてきますが,ここでは物性値の温度依存性は考慮しません。
計算は,時刻 0.0 [sec] から 7200.0 [sec] ( 2.0 [h] )まで完全陰解法により計算し,理論解と比較します。

図 1 解析モデル

計算結果 温度分布

図 2-1 温度分布アニメーション 10コマ 

 

図 2-2 LS-DYNA による計算結果

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温度分布グラフ

本例題は,r 方向にのみ温度分布が変化する 1 次元問題です。
本例題の理論解は次の式で与えられます。

■円板温度

ここで,各変数及びパラメータは次のようであります。

T0

[℃]

初期温度
r
[m]
半径方向の座標
R
[m]
円板の半径
Sn   0次のベッセル関数    の解
  1次のベッセル関数値
   
λ
[W/m℃]
円板の熱伝導率
ρ
[ kg / m3 ]
円板の質量密度
c
[ J / kg℃ ]
円板の比熱
t
[sec]
時間
   
  0次のベッセル関数値
 

図 3 r [m] における温度分布

数値データ
表1に理論解に使用した数値データを示します。

表 1 理論解の数値データ