温度と温度変化率の近似式について

時間微分項の離散化に関する説明では,温度と温度の時間変化率を近似する次の式が登場します。
ここではこれらの導出方法について説明します。
すなわち登場する 2 式は(1)および(2)です。
タイムステップ N の時刻を tn ,N + 1 の時刻を tn + 1とすると N と N + 1 ステップの間における任意の時刻 t はパラメータ θ を用いると

 
 
と表すことができ,このステップを仮に N + θ ステップと表現します。
このときの温度 Tn+θは,次式で近似されます。
 
(1)
また温度の時間変化率は次式で近似されます。  
(2)

ここで,時刻と温度との関係を図1に示します。

 

 

図1 時間と温度の関係

 
いま,温度を線形近似していますので,傾きを m ,時刻 0 における温度軸に対する切片を k とすれば, 時刻 tn と tn+1の間で,  

(3)
と近似することができます。
図 1 を参考にすれば,時刻 tn および tn+1 において温度はそれぞれ次式で表現できます。
 

(4)

となります。
(4)式の片々を引くと,

 
 

となるので,2 点間の温度勾配 m は

 
(5)

であることがわかります。
これはまさに式(2)そのものです。
温度の時間変化率は tn と tn+1 の間で一定であることからも自明です。
したがって(2)が導出できました。(dt = tn+1 - tn です)

(5)を(3)に代入すると次式が得られます。

 
(6)
となります。
切片 k を求めるために,時刻 tn で温度が Tn であるという関係を代入すれば
 
(7)
k についての形に直すと次のようになります。  
(8)

(8)を(7)に代入することで,温度と時間の関係は次式で表されることがわかります。

 
(9)
これにより,タイムステップ N + θ における温度 Tn+θ は,次式で表されます。  
(10)

以上で導出が終了しました。