磁界解析のための境界条件2
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ここでもう一度ベクトルポテンシャルの図を示します。よく見ると原点(中心部分)に関して対称であることがわかります。であるならば領域を丸ごと解析する必要はなく,第1〜第4象限のどれか一つを解析して得られた結果を全体で得られる結果に変換すればよいことになります。
図3 ベクトルポテンシャルの理論解分布
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図4 解析領域概念図
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ここで私たちは計算機(コンピューター)の資源(計算機容量)が有限であることをたえず頭に入れておかなくてはなりません。5年前に較べてこれらの能力は飛躍的に向上していますが,私たちはそれに伴ってより大きい未知数の解析を要求するようになっているからです。例えば問題によりますが,一般的に未知数が10000で全体を丸ごと解析する場合(1象限あたり2500未知数)と,対称性を利用して4分の1の領域を10000の(1象限当たり10000未知数)未知数で解析するのとでは,4分の1を解析したほうがより良い解析ができるのではないでしょうか。あるいは4分の1の領域を未知数20000で最低でも解析したい場合全体を解析しようとすると80000未知数となってしまいます。ですから解析には,計算機の能力に合わせたサイズで行なえる工夫が求められるのです。
ここで4分の1に領域を限定して解析した場合にはその結果が全体で得られる結果と矛盾しないような条件を設定する必要があります。このとき必要とされる条件が境界条件なのです。ですから境界条件の設定が不適切だと解析の妥当性自体が怪しくなってしまいます。
では実際に4分の1にして解析するにはどうしたらよいのでしょうか?