軸対称磁場解析 5 / ガラーキン法による離散化
支配方程式にガラーキン法を適用した式

(1.18)
に,次式に示す左辺第 1 項の静磁界項を弱形式化した式
(2.18)
および左辺第 3 項の等価磁化電流密度項を弱形式化した式
(3.13)
を用いて書き直すと次のように変形されます。
(5.1)
式(5.1)の両辺を−2πで割ります。
(5.2)

 離散化は三角形環状1次要素を使用します。
ところで,軸対称場の離散化では,分母に r 座標が入っている項があります。
したがって,r = 0 のときには不定となるため積分が実行できません。
そこで,一般的に「場に対して要素分割が十分細かいならば r 座標値を,要素の重心の r 座標値 rc で代表しても精度的に十分である」という近似が行なわれます。
ここで,要素の重心の r 座標 rc は次式により計算されます。

(5.3)
 以上より,軸対称場は 2 次元場と若干離散化の計算が異なるので, 各項の離散化に必要な 4 種類の計算について,ここで前もって準備しておくことにします。
 三角形環状 1 次要素内において,任意点での r 座標値は,要素の補間関数 {N} と要素の節点での r 座標 {r}eより次のように近似します。
(5.4)
まず,1 番目の計算を示します。
(5.5)
次に 2 番目の計算を示します.
(5.6)
次に3番目の計算を示します.
(5.7)
次に4番目の計算を示します。
この計算では,分母の r を要素重心の r 座標 rc で近似します。
したがって,補間関数も要素重心の値で近似します。
要素の補間関数 {N} の各成分は次の式で表されます。
(5.8)
ここで,添字は循環するものとします。
要素重心における N1c は,重心座標 ( rc , zc ) を代入すれば次のように求めることができます。
(5.9)
N2c ,N3c についても同様に 1/3 となります.したがって,
(5.10)

分母を rc で近似した項の内挿関数は式(5.10)のようになります。
これより,4番目の計算は次のようになります.

(5.11)
以上,三角形環状一次要素による離散化計算に必要となる計算式 (5.5),(5.6),(5.7),(5.11) の 4 式が求まりました.